抄録
人口の高齢化や疾患の多様化が進んだことにより,「食べる・飲む」ことの機能障害である摂食嚥下障害に注目が集まっ ている.これまでの医療は,摂食嚥下機能障害に対して,主として経管栄養などの代替栄養を用いることを選択してきた.近年, 高齢者の増加に伴い,人間らしく生きることを追求すれば食物の経口摂取は当然の権利であると見直されてきたこと,また国 民医療費の負担増などの社会的問題の顕在化,などをきっかけとして摂食嚥下リハビリテーションが広まりつつあるが,摂食 嚥下機能の評価,エビデンスを伴う治療的アプローチに関しては,未だ多くの課題が残されている.本稿では,摂食嚥下障害 の背景にある日本の超高齢社会の実態を踏まえて,今後の医療発展のためにどのような臨床技術・研究が望まれているかにつ いて解説する.