バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
解説
痙縮の病態生理
長谷 公隆
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2018 年 42 巻 4 号 p. 199-204

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抄録
中枢神経疾患における上位運動ニューロン症候群の陽性徴候(positive symptoms)である痙縮は,腱反射亢進を伴う緊張性伸張反射(tonic stretch reflex)の速度依存性亢進と定義され,運動麻痺症状の増悪や異常肢位,痛みを招いて日常生活に悪影響を及ぼす.伸張反射の受容器である筋紡錘の感受性は錘内筋線維を支配するγ運動ニューロンによって制御される.痙縮筋には自発性運動単位発火がみられ,その頻度は中枢神経損傷後の回復とともに増大する.このα運動ニューロンの興奮性増大を説明する機序として,γ錐内運動システムや脊髄運動ニューロンの内在的特性,シナプス前抑制機構や相反抑制の減弱を含めた脊髄介在ニューロンの変化が考えられている.しかしながら,痙縮に伴う足クローヌスや痙縮の構造特性を含めて,明確な機序は明らかになっておらず,その病態生理の解明が望まれる.
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© 2018 バイオメカニズム学会
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