2018 年 42 巻 4 号 p. 219-224
脳卒中後の上肢麻痺とともに後遺症の一つとして痙縮が挙げられる.痙縮は上肢の運動障害の阻害因子とも考えられており,この症候群に対するアプローチの確立は急務とされている.American Heart Association のガイドラインでは,ボツリヌス毒素 A 型施注や神経筋電気刺激が痙縮の抑制効果においてエビデンスを有している.一方,課題指向型アプローチである Constraint-induced movement therapy(CI 療法)については,エビデンスを確立するには至っていないが,痙縮抑制の効果およびメカニズムを示す論文もある.特にボツリヌス毒素 A 型施注と併用した際には大きな痙縮抑制効果を示すといった論文も認める.本稿では CI 療法の痙縮抑制の疫学的な背景およびメカニズムについて言及するとともに,ボツリヌス毒素 A 型施注との併用療法の効果についても言及する.