抄録
脳卒中後の痙縮は,関節の円滑な運動を妨げ,筋の短縮や関節拘縮,疼痛の原因となり,リハビリテーションの阻害因子となる.麻痺側上肢の痙縮を低減するためには,発症直後からの運動療法と装具療法が重要となる.痙縮に対する上肢装具の目的は,筋の持続伸張による短縮や変形・関節拘縮の改善と,手の機能を代償するために使用される.また装具は,ボツリヌス療法と併用することで,短縮した上肢屈筋群の伸長が容易になるため,手指の随意性の改善に有用である.これによって発症後数年経過した対象者でも装具で筋の短縮を改善し,手の機能を代償する装具の使用によって麻痺側上肢の機能改善を目指すことが可能になってきている.