バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
解説
霊長類の腕渡り-その進化とヒト二足歩行能獲得への意義
藤野 健
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2020 年 44 巻 2 号 p. 77-83

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抄録
新旧両世界の霊長類には特異なロコモーションである腕渡り Br が観察され互いに平行進化を遂げたものと考えられるが,尻尾利用の有無,鉛直線に対する体幹角度の変動,頭部-胸郭-骨盤間の回転位相差の発生,後肢伸展度に違いが見られ た.Br を行う全ての霊長類が程度の差はあるものの必ず二足歩行性 Bp を示す.アカアシドゥクラングール並びにキンシコウは四足歩行性 Q 並びに体長軸回りの反復回転性を伴う Br,Bp を併存し,Bp はヒト歩行に類似した胸郭と骨盤間の回転位相差を伴う.Q のサルが体長軸回りの反復回転移動性を伴う Br + Bp を獲得し水平方向への移動運動性を強め,ヒト上科祖先では既に Q を失い,後に小型類人猿は Br に,ヒトは Bp に特殊化し,一方大型類人猿は二次的な Q を獲得,強化したと考えた.
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© 2020 バイオメカニズム学会
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