バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
研究
慢性足関節不安定症の有無が片脚着地からの切り返し動作時の足部機能に及ぼす影響
渡部 貴也高林 知也久保 雅義
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2020 年 44 巻 3 号 p. 171-178

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抄録

本研究は慢性足関節不安定症(CAI)の有無が片脚着地からの切り返し動作時の足部機能に及ぼす影響を明らかにする ことを目的とした.対象は健常成人男性16 名の右下肢とした.Cumberland Ankle Instability Tool を用いて,対象者を健常群8 名(年齢20.8 ± 0.8 歳,身長171.8 ± 4.5 cm,体重61.0 ± 5.4 kg)とCAI 群8 名(年齢20.1 ± 0.8 歳,身長173.8 ± 7.1cm,体重62.3 ± 8.2 kg)に分類した.課題は着地板が左もしくは右に8 deg 傾く場合と傾かない場合の3 パターンで着地してもらい,傾いた方向に1 秒以内に素早く全力で跳ぶこととした.着地板の傾斜方向は対象者に知らされていなかった.CAI群は健常群と同じパフォーマンスタイム(初期接地から足部離地までの時間)であったが,CAI 群は切り返し動作のミスの回数が多く,長腓骨筋反応時間の遅延がみられた.今回のような動的課題ではCAI 群は遂行すべき動作と意図する動作の不一致が頻回に起こったことから,CAI 群は足部の傾きを正確に感知できないまま課題を遂行していると推察された.

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