バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
44 巻, 3 号
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解説
  • 竹内 弥彦
    2020 年 44 巻 3 号 p. 128
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル フリー
  • 村永 信吾
    2020 年 44 巻 3 号 p. 129-132
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル フリー
    ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)は,加齢を基盤に運動不足や身体活動由来の運動器障害により「立つ」「歩く」といった移動機能が低下した状態をいう.歩行機能の低下は歩行不安や転倒を繰り返し,大腿骨頸部骨折などの重篤な合併症を引き起こすことで,日常生活活動のみならず QOL への重大な阻害因子となり,要介護へリスクを高める.本稿では,ロコモ予防として個人のみならず社会的認識を高めるために開発されたロコモ発見のためのロコモ度テストと早期対策として簡便に実施できるロコトレを中心に解説する.
  • 下村 義弘, 波多野 優, 志村 恵, 夏 亜麗
    2020 年 44 巻 3 号 p. 134-140
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル フリー
    手は,自分自身の移動を強力に支援している.仰臥位からの立ち上がりのほか,乳児における四つ這い,手すりや杖の使用による歩行の支援,転倒時のリカバリ,そして車いすやヨット,自転車などの運転,そのほか航空機や船舶,列車などの道具を使った移動は,手があればこそ実現する.自動車は操舵のほか運転支援システムの操作にも手が関与している.ドローンに至っては立体視ゴーグルを通した視覚情報に基づいて,ヒトとはボディサイズも何もかも異なる機体を,ヒトよりも速い速度で移動させる.ヒトのロコモーションは直立二足歩行に興味が向きがちだが,手で道具を使うことによる移動もまた興味深い.ヒトの移動を支援する道具の設計方法論の一つとして,手による移動支援を俯瞰的にとらえる.
  • 加茂野 有徳
    2020 年 44 巻 3 号 p. 141-146
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル フリー
    歩行補助に用いられる杖について,一般的に使用される一本杖(T 字杖)に絞って,その目的および作用から,杖を用いた歩行(以下,杖歩行)の効果を概説し,筆者らの行った杖歩行の力学的解析のための計測杖の作製と,それを用いた解析事例を紹介した.杖は,立位および歩行時のバランス保持と,免荷すなわち下肢荷重の軽減を目的に使用され,生体力学的安定をもたらし歩行運動を補助する.計測杖を用いた脳卒中片麻痺者の杖歩行時の左右脚の逆動力学解析により,下肢関節モーメント波形に麻痺側と非麻痺側の間で大きな非対称性があることと,リハビリテーション後に杖への依存が減少し麻痺側関節モーメント生成能力が増大することを示した.
  • 田中 繁
    2020 年 44 巻 3 号 p. 147-151
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル フリー
    この小稿では,「ロコモーション支援のバイオメカニズム」特集の中で,「歩行支援機器の国際標準化」についてまとめた.歩行支援機器(歩行補助具)の規格に関わる組織としてISO,JIS,SGがあり,それぞれでの規格開発手順について説明した.続いて,それぞれの組織で開発(作成)されてきた歩行補助具規格を紹介している.そして,与えられたテーマである国際標準(規格)ISOにおける 2 つのテーマについて,規格項目の構成,そして内容の概略について説明している.最後にISOおよびJISで今後議論すべき方向について私見を述べた.
  • 髙野倉 雅人
    2020 年 44 巻 3 号 p. 152-157
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル フリー
    歩行車やシルバーカーは,高齢者など歩行に困難さを抱える人のロコモーションを支援する補助具である.フレームと車輪,ハンドル,荷物を運ぶカゴで構成され,利用者と歩行車・シルバーカーとの間には,杖や歩行器など他の補助具とは異なるメカニズムが存在する.また近年,外部動力と制御装置を備えた歩行車やシルバーカーの研究開発も進められている.本稿では,ロボット技術を搭載した歩行車を利用して坂道を歩いたり,傾斜路を横断したりする動作を分析した研究を例として,歩行車やシルバーカーを用いた歩行の特性について解説する.
  • 井上 剛伸
    2020 年 44 巻 3 号 p. 158-161
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル フリー
    本稿では,活動・参加を中心に生活機能と歩行支援機器の関係をWHOの国際生活機能分類(ICF)を基に整理し,その意義について概説した.生活機能は心身機能・身体構造,活動,参加を包含した概念であり,人の生活の全体を表そうとする概念である.障害は生活機能に問題が生じた状態を示すものとして定義され,支援機器はそれらに作用するものとして位置づけられる.歩行は活動・参加に位置づけられているものの,健康維持や機能維持の観点から,心身機能への影響も大きいとされ,それを支援する機器については特別な配慮が必要となる.ここでは,心身機能・身体構造,歩行,活動・参加の3つの要素に作用する機器を設定し,その活用に必要となるポイントを指摘した.
研究
  • 岡田 英孝, 横澤 俊治, 髙橋 英幸
    2020 年 44 巻 3 号 p. 162-170
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,MRI を用いて日本人男女アスリートの身体の横断面画像を連続的に取得し,各身体部分につき1 枚の MRI 画像から身体部分密度を推定することを目的とした.まず,6 名の男女アスリートを被験者とし,身体部分密度推定に適する断面を選定するための予備測定を行った.断面の選定方法および身体部分密度の推定方法を決定した後,21 名の別の男女アスリートを被験者とし,各身体部分につき1 枚のMRI 画像から身体部分密度を推定した.予備測定の結果,各身体部分につき1 枚のMRI 画像の分析から,多数のMRI 画像を分析した場合と同等の身体部分密度が得られることが示された.また,男女アスリートにおける身体部分密度の性差やアスリートと屍体標本(白人中高年男性)との身体部分密度の違いが明らかとなった.
  • 渡部 貴也, 高林 知也, 久保 雅義
    2020 年 44 巻 3 号 p. 171-178
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    ジャーナル フリー
    本研究は慢性足関節不安定症(CAI)の有無が片脚着地からの切り返し動作時の足部機能に及ぼす影響を明らかにする ことを目的とした.対象は健常成人男性16 名の右下肢とした.Cumberland Ankle Instability Tool を用いて,対象者を健常群8 名(年齢20.8 ± 0.8 歳,身長171.8 ± 4.5 cm,体重61.0 ± 5.4 kg)とCAI 群8 名(年齢20.1 ± 0.8 歳,身長173.8 ± 7.1cm,体重62.3 ± 8.2 kg)に分類した.課題は着地板が左もしくは右に8 deg 傾く場合と傾かない場合の3 パターンで着地してもらい,傾いた方向に1 秒以内に素早く全力で跳ぶこととした.着地板の傾斜方向は対象者に知らされていなかった.CAI群は健常群と同じパフォーマンスタイム(初期接地から足部離地までの時間)であったが,CAI 群は切り返し動作のミスの回数が多く,長腓骨筋反応時間の遅延がみられた.今回のような動的課題ではCAI 群は遂行すべき動作と意図する動作の不一致が頻回に起こったことから,CAI 群は足部の傾きを正確に感知できないまま課題を遂行していると推察された.
  • 五十嵐 健太, 山田 洋, 小金澤 鋼一
    2020 年 44 巻 3 号 p. 179-186
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    ジャーナル フリー
    凹凸のある路面上を歩行した際の適応制御方略に着目して,足底面が接地時に接触する突起物の位置の違いによる制御方略の違いを明らかにすることを目的とした.健常な若年男性を対象に,等間隔に突起物を並べた不整地を含む歩行路上を歩いた際の動作と筋活動をモーションキャプチャシステム及び筋電図を用いて記録した.不整地区間に進入した最初の立脚期中の得られたデータから体幹及び下肢関節角度,下肢関節トルク,また,筋電図データから膝関節及び足関節の共収縮値を算出した.突起物1 本のみに接地した際は,両脚支持期中に体幹部が後傾し,下肢の共収縮度を低下させていたことに対して,突起物2 本に接地した際は,下肢の共収縮度を増加させていた.単脚支持期中については,前半では違いは見られなかったが,後半は突起物1 本のみに接地した時は2 本に接地した時と比べてより膝関節トルクの発生を抑えるような運動をしていた.このことから足底面が接地時に接触する突起物の位置の違いによる制御方略の違いが明らかになった.
ショートペーパー
  • 長谷 和徳, 外川 博都, 小林 訓史, 大日方 五郎
    2020 年 44 巻 3 号 p. 187-190
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study is to develop a prototype of prosthetic sport foot for amputee long jump based on our simultaneous optimization simulation of both prosthesis shape and takeoff action. Elastic property of the prosthetic foot was modeled by the flat spring design formulas. The simultaneous optimization results demonstrated a straight shape at the end part of the prosthetic foot and a takeoff motion achieved a jump distance of over 7 m. Two-dimensional design drawings were drawn from the optimized design parameters such as arc lengths and curvatures of the arc elements of the prosthetic foot shape. Moreover, nonlinear elastic properties were quantified by a virtual elasticity test in a computer in which the mechanical relationship between the external load and flexibility at the tip of the prosthetic foot was investigated two-dimensionally. We asked a specialized company to select prepreg materials and to design the laminates according to the above information. We also asked them to produce a prototype of the prosthetic foot made with carbon fiber reinforced plastic (CFRP). The proposed prosthetic foot will be evaluated by the target amputee athlete in the future.
連載
  • パソコン・プログラミング
    増田 正, 大路 駿介
    2020 年 44 巻 3 号 p. 195-198
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル フリー
    パソコン上で実行するプログラムの作成方法について解説した.対象とするOSはWindowsで,プログラミング言語としてはC#を取り上げた.プログラム作成のための統合開発環境としてVisual Studioを用い,ボタンやテキストボックスなどのグラフィカルなユーザインタフェース(GUI)をもったフォームアプリケーションの作成方法を紹介した.さらに,パソコンとマイコンをUSBケーブル経由で連携させ,マイコンに接続したLEDをパソコンからの指令で点灯させるとともに,マイコンによって計測した反応時間をパソコンの画面上に表示させる方法についても触れた.パソコンとの連携により,マイコンの利用分野を大きく広げることができる.
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