医療・介護・スポーツ等の現場において,動作時痛は早期に改善すべき最重要課題である.その疼痛には必ず機能的要因があり,ある部分の機能不全が引き金となり,動作の中で局所組織に力学的ストレス集中を生む.その結果,組織損傷へと至り,疼痛発生へと及ぶ.そのため,局所症状に対する治療介入だけでは障害の本質的な改善は難しい.よって,疼痛の要因である力学的ストレス集中を改善するためには,骨・関節アライメントや姿勢を把握し,その影響を動作の中で観察・分析することが重要であり,力学的ストレス集中の要因となる機能不全を改善し,動きを変化させることが求められる.今回,下肢障害に対する観察的動作分析をはじめ,疼痛発生メカニズムの推察,インソール作製による動きの変化とその分析について事例を用いて解説する.