抄録
本研究では,漸増負荷ペダリング運動中における筋電図閾値に対応する運動強度の前後において,筋シナジー解析によって抽出された運動モジュールの比較を行うことで,当該運動中における下肢筋活動の制御様相の変化を調査した.実験では,男性自転車競技者10名に対して連続的漸増負荷ペダリング運動を実施した.試技中に計測された下肢9筋の筋電位を用いて,筋シナジー解析とEMG再構成精度ベクトルを用いたクラスター分析を行った.その結果,筋電図閾値以上の運動強度において,それまでとは異なるモジュールセットが動員されていることが示され,漸増負荷運動中における下肢筋活動の制御様相の変化が筋電位増加率上昇の要因である可能性が示唆された.