バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
47 巻, 1 号
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解説
  • 中島 康貴
    2023 年47 巻1 号 p. 2
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/05/18
    ジャーナル フリー
  • 装着型ロボット使用時の歩容分析
    秋山 靖博
    2023 年47 巻1 号 p. 3-8
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/05/18
    ジャーナル フリー
    装着型歩行アシストロボットには,高齢者の日常生活能力の維持を通して生活の質を保つことが期待される.その際, アシスト機器利用の適性およびアシスト効果を評価するための指標が必要である.歩行能力・歩行安定性の評価方法は種々提案されているが,日常生活の様々な状況でのそれらの適用性は明らかでない.本稿では,装着型アシスト機器を使用した日常環境歩行動作の分析方法および歩行機能の定量化法を紹介する.具体的には,日常環境で生じる旋回やつまずきなどの非定常歩行に際しての人間の動作傾向およびそれに対するアシスト機器の影響の分析方法と,歩行安定性を反映すると考えられるいくつかの指標を紹介する.
  • 菅間 敦
    2023 年47 巻1 号 p. 9-15
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/05/18
    ジャーナル フリー
    脚立やはしごは,高所作業用の用具として様々な用途に利用されるが,使用中の墜落・転落事故が毎年多数発生している.その原因は,用具の構造は単純であるものの,その上で行う作業が人の姿勢制御にとって難しい課題となり,姿勢のバランスを崩しやすいことにある.また,背後要因として様々な要素が人の姿勢や用具の安定性に影響を与えているため,災害防止対策の立案と実施は必ずしも簡単ではなく,多層的な管理方策を総合的に実施する必要がある.本稿では,主に脚立・はしごからの転落災害について,姿勢のバランス制御の観点から言及する.はじめに転落のリスク因子について系統別に整理するとともに,各因子の影響について概説する.また,災害防止方策の実施のために,脚立・はしごに関連する規格と,諸外国でとられている安全対策について紹介する.
  • 安 琪
    2023 年47 巻1 号 p. 16-22
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/05/18
    ジャーナル フリー
    脳卒中患者の多くは片麻痺の症状が現れ,リハビリテーションによって運動機能の改善が図られる.効果的なリハビリテーションを行うには,人がどのように自分自身の身体を制御して運動を達成しているか,また脳卒中によってどのように阻害されるかを理解することが重要である.本稿では,筋シナジーと呼ばれる複数筋の協同発揮現象に着目し,健常な人の起立動作においてどのような筋シナジーが存在し,それが脳卒中によっていかに変化していくかを解説する.さらに,人の筋や骨格の特徴を反映した筋骨格モデルを用いたシミュレーションから筋シナジーが運動に与える影響を調べ,また計測を行うことが困難な情報をモデルによって推定することで脳卒中患者における運動機能の評価を行った事例を紹介する.
  • 中川 剣人
    2023 年47 巻1 号 p. 23-31
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/05/18
    ジャーナル フリー
    非侵襲的な神経刺激により中枢神経系の可塑性を促進させるニューロモジュレーション技術の適用がリハビリテーション分野で研究が進んでいる.本稿では,このニューロモジュレーション技術をスポーツパフォーマンス向上に活用するための展望を行う.ニューロモジュレーションを行うにあたり,元々の神経状態や目標の神経状態の把握が重要であるため,研究が進んでいるリハビリテーション分野における障がい者の神経系の特徴,およびそれに基づくニューロモジュレーション技術に関する知見をまず紹介する.そのうえで,健常者・障がい者アスリートの神経系の特徴とスポーツパフォーマンス向上のためのニューロモジュレーション研究の動向を紹介する.
  • 近井 学
    2023 年47 巻1 号 p. 32-38
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/05/18
    ジャーナル フリー
    サービス現場における接客行動では,スタッフと顧客のインタラクションにおいて,バーバル・ノンバーバルコミュニ ケーションが行われている.産総研では,サービス現場における接客応対の品質向上,また現場の接客応対の業務訓練の効率化を目指し,ヒト-ヒトインタラクションのモデル化,そして AI 技術を活用した現場支援技術の社会実装を進めてきた.本解説では,サービス現場における接客行動に関するこれまでの研究動向をまとめるとともに,産総研が取り組んでいる研究開発内容についての紹介を行い,接客場面におけるインタラクションに関する研究課題の将来像について述べる.
  • 西村 崇宏, 土井 幸輝, 澤田 真弓, 米丸 加代
    2023 年47 巻1 号 p. 39-44
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/05/18
    ジャーナル フリー
    外界からの情報の多くを取得する器官である視覚が障害されると,移動や文字の読み書き,日常生活動作の円滑な遂行などに影響が及ぶことから,学習活動や日常生活を送る上で様々な困難さが生じる.そのため,視覚障害のある子どもの教育活動においては,ルーペや単眼鏡などの視覚補助具の他,聴覚や触覚など視覚以外の感覚を活用する代替技術,近年急速に学校教育現場へと普及が進んだ ICT なども活用しつつ,必要な情報にアクセスしていくことが必要となる.本稿では,視覚障害教育について概説するとともに,視覚障害のある子どもの教育活動における支援機器について,機器の具体例やその活用事例を紹介する.
研究
  • 和久井 健吾, 牛山 幸彦, 佐藤 悠樹
    2023 年47 巻1 号 p. 45-53
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,漸増負荷ペダリング運動中における筋電図閾値に対応する運動強度の前後において,筋シナジー解析によって抽出された運動モジュールの比較を行うことで,当該運動中における下肢筋活動の制御様相の変化を調査した.実験では,男性自転車競技者10名に対して連続的漸増負荷ペダリング運動を実施した.試技中に計測された下肢9筋の筋電位を用いて,筋シナジー解析とEMG再構成精度ベクトルを用いたクラスター分析を行った.その結果,筋電図閾値以上の運動強度において,それまでとは異なるモジュールセットが動員されていることが示され,漸増負荷運動中における下肢筋活動の制御様相の変化が筋電位増加率上昇の要因である可能性が示唆された.
  • 東島 涼香, 姜 銀来, 横井 浩史, 東郷 俊太
    2023 年47 巻1 号 p. 54-62
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/08
    ジャーナル フリー
    ヒトやロボットは捕球動作が可能であるが,人間機械協調系の電動義手ハンドによる捕球は困難である.本研究の目的 は,ヒトの捕球動作を観察することで捕球動作に適した捕球形態を同定し,ロボットハンドの捕球形態に応用することである. ヒトを対象とした,自由落下するボールを手先で捕球する実験の結果,捕球形態は 5 種類に分類された.その中で捕球成功率 が高い捕球形態は,最初に掌遠位にボールを接触させ,握力把持に至る形態であり,母指と小指の対向性が重要であると結論 づけた.同定した捕球形態をロボットハンドへ応用した結果,捕球成功率が劇的に増加した.以上の結果は,母指と小指を対 向させられるロボットハンドによって,電動義手による捕球動作が実行可能であることを示唆する.
  • 河島 隆貴, 石田 弘, 福原 真一, 末廣 忠延, 吉村 洋輔, 岡田 裕
    2023 年47 巻1 号 p. 63-70
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/08
    ジャーナル フリー
    筋力トレーニングを行う場合,筋疲労を客観的に評価するシステムを用いることは重要である.本研究では等速性膝 伸展時のトルクと大腿四頭筋の筋電図および筋音図を計測し,膝伸展トルクと他の値が統計学的に近似した変動となるか明ら かにすることを目的とした.健常成人男女 30 名は最大努力で等速性膝伸展運動(60 deg /秒)を 50 回行い,記録されたト ルク,筋電図,筋音図の変動を平行線検定により分析した.その結果,トルクと平行性が証明されたのは外側広筋筋音図のみ であった.膝伸展抵抗運動などのような日常的に行われる筋力トレーニングの場面で,筋音図を用いれば筋疲労の程度を定量 的かつ簡便に評価することができる可能性がある.
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