抄録
本研究では,職業威信に関する先行研究を検討することによって,安全性拡充のための社会心理学的な装置の可能性を探索することを目的とした.まず,従来の職業威信に関する社会学的な研究を検討した.その結果,職業威信は各国間,世代間で不変であるという特徴がみられた.次に,職業威信に関する社会心理学的な研究を概観した.社会心理学では,職業威信はおもにジェンダーやキャリアガイダンスとの関連で論じられていた.最後に,認知された職業威信として,自分の職業に対する誇りの変数に焦点を当てた.いくつかの調査研究をもとに誇りの変数が,年齢や性別によって異なること,違反や事故と関連がみられる可能性があることなどを論じた.