抄録
内部告発は組織における不正行為を暴露して制止させるだけではなく,新たな不正行為を抑止する効果がある.内部告発は内部告発者本人の動機付けと第3者の内部告発に対する許容度の2つ側面がある.前者は潜在的な告発者の告発行動を起こす意向で,後者は,社会や組織構成員の内部告発・内部告発者に対する態度からの影響である.適切な内部告発を推進する環境や内部告発に関する効果的な教育プログラムを作るために,本研究は内部告発行動や内部告発及び告発者に対する態度に対する個人特性・組織特性の影響について社会調査で調べ,その結果に基づいて社会心理学の視点から内部告発に関する制度や教育プログラムに対する提案を試み,内部告発に関する社会心理学研究の役割と方向について検討した.