抄録
本研究は,地域病院を軸とする医療連携の実態に焦点を当て,ステークホルダーへのヒアリング調査を行い,連携の可能性とそのための課題抽出を目的とする.その際,様々な環境要因が作用する複雑なプロセスである医療連携の性格を踏まえ,関係者の連携に対する意識を把握し,利害関心を明らかにする手法を試みた.結果,ステークホルダーは医療連携促進の方向性ではほぼ一致しているにも拘らず,そのための「条件」「結果」の双方において抱く連携像が異なる事が分かったが,各ステークホルダーの関心は多様な側面にわたり,相互に相補う可能性が高い事も明らかになった.そこで,各々の利害関心の違いを認識した上で,目的意識の共有と相互理解促進のために,多職種・多組織的な連携促進組織の構築を提案する.