素粒子論研究
Online ISSN : 2433-2895
Print ISSN : 0371-1838
12.続・素粒子の質量スペクトル : 四次元時空における固有値問題
江夏 弘
著者情報
ジャーナル フリー

1953 年 5 巻 11 号 p. 1369-1389

詳細
抄録

現在の場の理論における中心問題である発散の困難と素粒子の質量スペクトルに関連して吾々は前に混合場の立場から或る程度の考察を試みた。それによつて発散の困難と種々の素粒子の質量の間に或る関係があるらしいことが推論された。しかし混合場とかくりこみのようなきわめて現象論的な処法は方法の第一段階としては見通しをあたえてくれて便利であるが,何ら本質的な解決には到達しない。吾々がこヽで展開する理論は混合場という制限を一応離れて素粒子の質量を相対論的量子力学の必然的帰結として導き出そうという試みの一つである。結論として云えることは"Fermi粒子が凝集力の場と相互作用しているときに適当な近似の下で四次元時空におけるDirac方程式を解けば質量スペクトルが得られ,それが丁度南部の指摘した半整数の法則に似たものになる。"ということである。

著者関連情報
© 1953 著者
前の記事 次の記事
feedback
Top