情報通信研究機構 (NICT) は国際VLBI事業 (IVS) の技術開発センターとして長年に亘ってVLBI技術開発に貢献してきている. NICTは1990年代からK5と呼ばれる一連のVLBI観測用サンプラーを開発してきている. K5システムはデータ記録に市販のPCを使用するように設計されており, 観測生データをインターネットを介して転送すること (e-VLBI) に適したシステムである. サンプラーの開発と並行してK5データを処理するためのソフトウェア相関器も開発された. VSSPシリーズと名付けられているVLBI用サンプラーはホストPCにPCIバスまたはUSB2.0インターフェースを介して直接接続することができ, 最新のVSSP32と呼ばれるサンプラーは1ユニットで4ch×1bit×64MHzサンプリングが可能である. したがってVSSP32を4ユニット使用することにより測地VLBIの標準モードである16ch (計1024Mbps) の観測が可能である. VSSPシリーズサンプラーは現在では測地VLBI観測用途だけでなく広く電波天文観測や精密時刻比較にも使用されている.