日本咀嚼学会雑誌
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咀嚼時の唾液分泌量の増加が嚥下誘発に及ぼす影響
塩澤 光一神山 かおる柳沢 慧二
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2002 年 11 巻 2 号 p. 117-121

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抄録
咀嚼時の唾液分泌量の増加が嚥下誘発にどのような影響を与えるかを調べるために, 嚥下までの咀嚼回数と唾液分泌量について11名の成人被験者で調べた. 0.2M酒石酸 (酸刺激) およびコントロールとして蒸留水 (DW刺激) に浸けた濾紙片をそれぞれ被験者の舌背に1分間載せた後, グミ及びモチをそれぞれ嚥下まで咀嚼させた. 嚥下までの咀嚼回数はグミ咀嚼, モチ咀嚼どちらの場合でも, 酸刺激後の咀嚼の方がコントロール (DW刺激後) に比べて有意 (P<0.001) に減少したが, 嚥下までに分泌された唾液分泌量は, グミ咀嚼, モチ咀嚼どちらの場合でも有意な差は認められなかった. また, 嚥下直前の顎舌骨筋活動量は, 酸刺激後とコントロールとで有意な差は認められなかった. これらの結果から, 同じ食品を同一量咀嚼する場合には嚥下までに分泌される唾液分泌量は常に一定であることが示唆された.
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