日本咀嚼学会雑誌
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キサンタンガムを添加したきざみ食の嗜好特性について
吉村 美紀桑野 稔子盛崎 利恵西成 勝好
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2004 年 14 巻 2 号 p. 50-61

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抄録
キサンタンガム (0.6, 1.2, 2.0%) のレオロジー的性質とキサンタンガムを添加したニンジンのきざみ食の嗜好特性について, 粘度, 動的粘弾性および官能評価より検討した. キサンタンガム水溶液のレオロジー的性質は, ずり流動化流動であり弱いゲルの挙動を示した. キサンタンガムを添加したきざみ食の咀嚼回数・咀嚼時間は, キサンタンガムを添加しないきざみ食に比べ減少した. 高齢者パネルは若年者パネルより, 試料の咀嚼回数・咀嚼時間は増大した. 若年者では0.6%, 高齢者では1.2%の咀嚼回数・咀嚼時間がやや減少した.若年者パネルによる官能評価では, 0.6%キサンタンガムを添加したきざみ食は, きざみ食だけの場合に比べ, 口の中での粘り, まとまり, 舌触りのなめらかさがあり, 飲み込みやすく, 総合評価において良い評価を得た. しかし, 口の中での粘りが一番強い2.0%キサンタンガムは, 残留感があり, 飲み込みにくく, 総合評価で好ましくないと評価された. 高齢者パネルでは, 1.2%キサンタンガムを添加したきざみ食が総合的にやや好ましい傾向がみられたが, いずれの濃度のキサンタンガムを添加したきざみ食の場合も口の中での粘り, まとまりがあり, 飲み込みやすく, 食べやすく, 総合的な好ましさにおいて, きざみ食だけの場合に比べてよい評価が得られた. 若年者と高齢者できざみ食に添加するキサンタンガムの好ましい濃度に違いがみられた. キサンタンガムのレオロジー特性は, きざみ食の嗜好性を高め, 食べやすく飲み込みやすくすることが示唆された.
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