抄録
目的: 介護老人保健施設の要介護高齢者を対象として, 提供されている食事形態と全身状態および舌圧との関係を明らかにすることで, 食事形態選択の基準となる要因を検索すること.
方法: 介護老人保健施設の一般療養棟入所者のうち, 調査を行うことのできた65歳以上の要介護高齢者66名 (男性21名, 女性45名, 平均年齢82.3歳) を対象とし, 全身状態 (ADL, 痴呆性老人の日常生活自立度判定基準を含む), 口腔内状態ならびに食事形態を調査するとともに, 簡易舌圧測定装置による最大舌圧を測定した.食事形態は普通食, おかゆ, キザミ食, ミキサー食の4群に分けて検討した.
結果: 食事形態は普通食: 29名, おかゆ: 14名, キザミ食: 19名, ミキサー食: 4名であり, 年齢や性別に偏りはなかった.ADLの低下とともにミキサー食が有意に増えていた (p<0.01).また, 痴呆が高度になるにつれて食事形態も有意に軟らかいものへと移っていた (p<0.01).
ADLと痴呆の影響を除いたうえで, 舌圧の食事形態決定への影響を検討するために, ロジスティック回帰分析を行ったところ, 両者間に有意な関連性 (p<0.05) が認められた.
結論: 食事形態の選択基準として, ADLや痴呆の程度のほかに, 簡易的な口腔機能評価として最大舌圧を利用できる可能性が示された.