日本咀嚼学会雑誌
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頭蓋骨モデルを用いた咀嚼ロボットのメカニズムと側頭筋のカベクトル可変機能を用いた顎関節力の最適軽減
高信 英明高西 淳夫加藤 一郎
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1993 年 3 巻 1 号 p. 43-50

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抄録
本論文は頭蓋骨モデルを用いた咀嚼ロボットのメカニズム, 咀嚼筋の一種である側頭筋の形状に着目したシミュレーション, そしてロボットを用いた顎関節力軽減実験について述べる.過去の咀嚼ロボットは歯科医学モデルとジュラルミンとから構成される単純な幾何学平面を基礎としてそのメカニズムを設計してきたが, 実際のヒトの下顎は複雑な3次元形状をしている.そこで頭蓋骨モデルを用いることでさらにヒトに近いロボットを開発することができた.また, 側頭筋の扇型の形状に着目し, 前部筋束および後部筋束に相当するアクチュエータを別々に配置した.この側頭筋が発生する力のベクトルを変化させることにより顎関節力が軽減できることをシミュレーションにより確認した.顎関節力が28%軽減できることをロボットを用いて実験的に確認した.以上の結果, 本研究で提案した理論の有効性をシミュレーションと実験の両面において実証した.
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© 特定非営利活動法人日本咀嚼学会
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