1997 年 31 巻 1 号 p. 20-36
競争環境が厳しくなる中,短いリードタイムで連続的に製品を導入していくことがますます重要になってきている.しかし,個々の新製品開発プロジェクトで創造される「プロジェク卜知識」を,他のプロジェクトヘと効果的に移転・伝承する体系的なメカニズムをもつ企業は必ずしも多くない.それは,プロジェクト知識が開発の過程やシステムに関係する暗黙知的要素を多く含むがゆえのマネジメントの難しさを反映している.本論文は,プロジェクト知識を効果的に移転・蓄積する方法として人的移転型プロジェクト連鎖と時間的オーバーラップ型プロジェクト連鎖の2つの方法を議論する.プロジェクト間の直接連鎖に関するこうした議論は従来の新製品開発組織論に新しい視点を提供する.