1997 年 31 巻 1 号 p. 37-50
組織成員間の自由なコミュニケーションは,組織の活力や創発,成員の満足などとの関係からその重要性が注目されているが,現場におけるその実現や維持は決して容易ではない.本論文ではグループウェア等情報通信技術の利用現場の経験から,自由なコミュニケーションの実現・維持の試みが自由と制約の循環に陥りがちであること,さらにルーマンらの議論を参考に,それが実は(近代組織にとって)原理的・必然的な事態であることを示す.その上で,この困難を解消して自由なコミュニケーションを導入するためのマネジメントのデザインを考察する.