2009 年 42 巻 4 号 p. 77-91
戦略人材マネジメント研究の多くは人材マネジメント(HRM)の分権化を仕事遂行の権限委譲施策と位置付けてきた.これに対して本論は意思決定構造の観点から分権化を捉えなおし,従業員の調達や育成,評価,報酬などのHRM 施策の運用における分権化が組織パフォーマンスに与える影響を検討した.米国企業のデータを用いて分析した結果,既存研究で主張される施策と戦略の適合(外的適合)と施策間の適合(内的適合)に加えて,HRM 施策と意思決定構造の適合が組織パフォーマンスを高める可能性が示唆される.