資源依存パースペクティヴは,組織における権力現象と環境適応を関連づけ,説得的な理論的枠組みを提供したが,「組織にとって重要な資源や問題は何か」という組織的認識の形成をめぐる権力現象については十分に論じてこなかった.本研究は「批判的」権力研究の蓄積に依拠しながら,資源依存パースペクティヴの批判的検討を通じて,組織論で展開される今後の権力研究においては,「組織にとって何が重要な資源依存関係であるか」という社会的現実について支配的な解釈と認識を形成するプロセスこそ今後の分析課題とされるべきであるという論点を提示し,研究の方向性を展望する.