2013 年 47 巻 1 号 p. 28-39
本稿では,南九州地域の焼酎(芋焼酎)産業における取引制度の事例分析から目的や利害を異にする人々間の協働の問題について考察を行う.南九州地域の焼酎産業では,芋焼酎の原料であるイモをめぐる取引において,本来はゼロサムの関係にあるはずの売り手(イモ生産農家)と買い手(焼酎メーカー)が相互に利益を高めるwin-winの取引制度を生み出している.このような取引制度は,取引ガバナンスを第三者(仲買人)に委ねるという制度的工夫や,自己利益の最大化の追求を自制する「強者」(焼酎メーカー)の節度ある取引行動によって支えられている。