抄録
本稿では,日本のスタートアップ企業を対象に,資本構成に注目した分析を試みる.スタートアップ期の重要な外部金融であるデットファイナンスに焦点をあて,資本構成の経年的な変化を示す.検証結果から,スタートアップ企業は,設立後にエクイティファイナンスよりもデットファイナンスを相対的に増加させることを明らかにした.あわせて,簡単な動学パネルデータモデルを用いて,スタートアップ企業のデットファイナンスの決定要因を分析する.推定結果から,キャッシュフローの小さい企業,成長率の高い企業,固定資産比率の高い企業ほど,デットファイナンスを増加させており,また,資本構成は過去の資本構成に依存することを示した.