2019 年 11 巻 1 号 p. 11-25
「半福祉・半就労」が注目されるのは,非正規職が4割を占めるに至っている雇用の不安定化やそれに起因する実質賃金の停滞等によって,仕事に就いたとしても賃金だけでは健康で文化的な生活が保障されない労働者,就業者が少なくなくなってきたところにある。このような労働者,就業者に対しては,最低賃金の引き上げ等,労働サイドにおける政策的対応と併せて,「半福祉・半就労」による最低生活を保障しながらの就労支援が必要となる。
本報告は,「半福祉・半就労」を進めるためには,生活困窮者自立支援制度と生活保護制度のそれぞれの間口を広げるとともに,両制度の一体的実施や,切れ目のない支援が求められていることを指摘するとともに,両制度による生活保障と自立支援のあり方を,社会保障審議会等での議論を踏まえ検討するものである。