2019 年 11 巻 1 号 p. 26-39
本稿では,就労支援政策に関わる(半)就労の課題を指摘し,「より良い就労支援政策」のために必要な施策を提起する。日本の就労支援政策の問題点としては,以下が挙げられる。第一に,(半)就労が(半)福祉とのパッケージで政策化されていない。第二に,政策の目標として「就労自立」に力点が置かれている。第三に,就労支援対象者の範囲が「働く意欲」で線引きされていることが多く,就労に向かう意欲を持ちえない人は支援の対象外に置かれてしまう。大阪府豊中市のケーススタディ分析をふまえ,本稿では次のような改革が必要であると結論づける。すなわち,①生活保障(現金給付)を受けながら,「居場所活動」や職業訓練その他の就労支援事業に参加できる制度にすること,②労働需要側の「一般就労」のあり方を改善する政策が同時に必要であること,③当事者の意欲・意思に適切に寄り添った相談支援を提供できる支援者の養成と処遇の改善が急務であること,である。