社会政策
Online ISSN : 2433-2984
Print ISSN : 1883-1850
特集「半福祉・半就労」を考える
静岡方式による就労支援
―「半福祉・半就労」から,「脱福祉・脱就労」へ―
津富 宏
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2019 年 11 巻 1 号 p. 40-54

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抄録

 日本では,雇用状況の悪化の結果,家族,政府,企業といった既存の社会制度から,多くの人びとが切り離されてきた。私たちは,既存の社会制度からの「縁(つながり)」を失った人びとをどのように支えることができるのだろうか。本稿では,静岡県内で16年間にわたって活動し,この数年間,無縁化をコミュニティの再組織化によってのりこえることに注力している,NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡の活動に着目する。同団体は,2002年に,当時の経済不況や厳しい雇用環境のせいで,働くことに困難を抱える若者を支援するために活動を始めた。その後,同団体は方針を変更し,単に困っている個々人を援助することだけではなく,地域コミュニティを再組織化し,地域の人びとが相互扶助の関係に入れることを目的としている。その背景にあるのは,理念としては,コモニング(再共有化)であり,手法としては,コミュニティ・オーガナイジングである。

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© 2019 社会政策学会
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