2019 年 11 巻 1 号 p. 55-67
近年「半福祉・半就労」というキーワードを耳にする機会が多くなっているが,このキーワードが指す意味や理念,その実態は必ずしも一様ではない。ある場面では,現代社会において一般的な就労に従事することが難しい人々にとっての新しい働き方のように用いられ,別の場面では一般的な就労にその水準が遠く及ばないような働き方を肯定的なものとして置き換えるための表現として批判的にとらえられてもいる。果たして,「半福祉・半就労」が意味するものとは何なのか。一方で,このような「半福祉・半就労」の意味や実態をその成り立ちから整理すると,そこにはいくつかの特徴がみえてくる。さらに,その意味を再考することにより,いわゆる労働市場弱者に対する新たな支援体制の可能性がイメージされる。この発表では,この概念の現行の定義を整理しつつ,改めて障害者の就労とその支援を一例として「半福祉・半就労」型支援の可能性を示していく。