2019 年 11 巻 2 号 p. 39-53
韓国社会保障制度の特徴は,「低負担・低給付」「国の負担の最少化」「公共より民間供給者の活用」であろう。2008年に導入された老人長期療養保険制度も例外ではない。導入から10年目を迎えている老人長期療養保険制度は,選別主義福祉政策から普遍主義福祉政策への転換のきっかけになったと言えよう。施設と在宅インフラの増加,雇用創出効果,介護認定者の数の増加など一定の成果が表れている。しかし,社会的入院の増加,介護人材の需要と供給のミスマッチ,地方公共団体の担うべき役割のあり方等,様々な課題も抱えている。それは,老人長期療養保険制度の制度設計内容に起因しているのは言うまでもない。
そこで,本稿では,老人長期療養保険制度の10年間の成果に焦点を当て,長期療養サービス提供者へのヒアリング調査結果をもとに,老人長期療養保険制度の現状と今後の課題を検討する。