社会政策
Online ISSN : 2433-2984
Print ISSN : 1883-1850
小特集2■地域や社会的居場所を活用した生活困窮者支援
社会的居場所での支援と循環する承認・ケア
―参与観察と研究サーベイを踏まえた問題提起―
森 瑞季
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2019 年 11 巻 2 号 p. 72-84

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抄録

 本稿の目的の第一は,社会的居場所に集う当事者たちがどのようにして個々人の尊厳と社会への参加の意欲を形成することになるのかを明らかにすること,第二に,社会的居場所を通して社会へと(再)参入を果たすのは,支援に関わる諸々の人々にも当てはまることを明らかにすることである。一言で言えば,これらは,社会的居場所における承認の調査・研究であり,これをX事業所とγカフェでの参与観察とインタビューの分析と,文献研究から行った。

 結論として,2点が明らかとなった。社会的居場所は,社会的課題をかかえた人々がそこでの対等な関係や果たすべき役割の授受,すなわちケアの循環を通して相互に承認される関係をつくり出し,自己実現に向けた第一歩を記す場となっていたことがわかった。また,この社会的居場所に関わった支援者や地域の住民なども対等な関係の生成にともなってエンパワメントされ,ケアの循環がもたらされていたこともわかった。

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© 2019 社会政策学会
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