2020 年 11 巻 3 号 p. 29-41
「外国人材の活用」という言葉は,成長戦略を掲げる第二次安倍内閣発足以降,多用され,「ニッポン一億総活躍プラン」でも取り上げられているが,「外国人の活躍」ではない。本稿は,外国人の日本社会での「活躍」を阻む制約を「不平等」の視点から考察する。その1つは,在留資格という不平等であり,在留資格によって,職種や労働時間,就労期間に制限がある「不自由」な外国人労働者が存在している。さらに,就職差別,雇用差別という実質的不平等の存在が,外国人労働者の可能性の実現を阻み,社会経済的不平等(格差)を生み出している。加えて,教育における制度的不平等や一条校における不平等によって,外国籍の子どものなかには,教育上の「失敗」を経験し,十分な資源を獲得することなく,若年で労働市場に参入する者も多い。その結果,労働市場における親世代の格差が再生産され,第二世代の「活躍」の機会が奪われている。