2021 年 13 巻 2 号 p. 50-63
地方自治体とその相手方との契約において,社会政策的基準を適用する実践事例がみられるようになったのは,おおよそ10年またはそれ以上前のことである。本稿では,この間の事例として,地域の労働市場に対する2種類の介入の仕方を紹介する。第1のものは,職種ごとの相場が形成されている建設工事の分野に主眼をおいた賃金条項のある公契約条例である。第2のものは,知的障害者をはじめとする就労困難者の労働力としての定着をはかる手段として,政策目的をふまえた基準で業務委託の相手方を選定する方法である。