2021 年 13 巻 2 号 p. 64-75
公契約条例を通じた,建設工事分野の賃金・労働条件の改善の可能性を検討する。
まず,調査結果に基づき,重層的な請負構造の下での建設労働者の賃金・労働条件の実態を確認する。そのことによって,公契約条例の必要性が明らかになる。
一方で,全国的には公契約条例の制定は進んでいない。公契約条例が制定された自治体数は50超にとどまる。それはなぜか。自治体の課題は何であるのか。公契約条例の制定にどのような条件が必要であるのかを,条例の制定に失敗した自治体の経験もまじえながら考える。