2022 年 14 巻 1 号 p. 97-107
平岡論文での概念整理を受け,実際的な政策プロセスのなかで「評価」がどのようなものであったか,その在り方を明らかにするのが本稿の課題である。取り上げるのは介護保険制度の政策プロセスである。まずは評価手法に係る概念をここで取り上げるものだけに絞って整理する。その後,厚生労働省に設置される社会保障審議会(介護保険部会)の第1回からできるだけ最新の回までの議事録を精査し,「評価」の用語がどのように使われているかを内容分析する。具体的には,「第三者評価」や介護保険事業計画における「PDCAサイクル」の活用といった課題が大きく注目された状況を確認し,その意味論について考察する。最後に,介護保険制度において「評価」はどのようなものであったかについて考察する。その論点は,「評価」はどのように利用されたのか,また,ここでの「評価」は政策評価たりえたのか,それとも業績評価に過ぎなかったのかといったものである。