大阪府教育庁が2020年度に開始した「定着支援事業」は、就労・教育・福祉の3つの政策領域を高校卒業後に、またそこから逆算して在学時とも繋ぐことを目的とした、前例のない取り組みである。同事業の受託組織でもある発案者は、教育委員会・教育庁にどのように提案したのか。それは教育委員会・教育庁内でどのように検討されたか。財務部局との交渉では何が論点となったか。結果、どのような建て付けの事業となったか。
教委部局と財務部局のチャンネルを経た定着支援事業は、既存事業を補強する外部専門人材および行政組織連携による現場人員の投入の欠如をともない、受託機関に大きなエフォートをかける性質を帯びた。同事業の提案は、社会的・行政的な既存のカテゴリー化とシステム的諸分業が設定する諸境界に揺さぶりをかけたが、教育行政の論理と財務の論理ゆえ、容易には組み替えられないものであった。複数政策領域の境界連結はたやすくない。