2023 年 15 巻 2 号 p. 61-72
本稿の目的は、大阪府教育庁の「府立高校における進路保障機能の充実事業」において得られた高卒就職者及び企業への聞き取りデータの分析を通じて、高卒就職者・企業の双方の立場から、特に高卒就職後の1年間に現れる課題を描出することである。
調査の結果明らかになったのは、学卒後に学校のサポートから切り離されることが、高卒者の職場定着に負の影響を及ぼしていること、高卒生の職場定着を目的とした企業の実践においては職場の対人関係の調整が労働環境の整備や居住のサポートといった取り組みに優先されやすいこと、企業によっては高卒就職者育成のノウハウやキャリアのビジョンについての蓄積が十分でないことがある点などである。こうした課題は、福祉・教育・労働の各政策の範囲にわたっており、学校から職業までの経時的な支援にとどまらず、領域横断的な政策課題に乗せる必要がある。