2024 年 16 巻 1 号 p. 289-301
本稿の目的は、大企業の中途採用行動の分析を通じて、日本的雇用システムの新しい類型を示すことである。日本的雇用システムの改革が主張されている。その際には国別類型化に基づいて議論が行われることが多い。しかし、過度に単純化された類型は、議論を誤った方向に導く危険がある。そこで、本稿では雇用改革論議の活性化のために、実態を反映した類型の提示を試みる。事例調査より、中途採用には「A-1 新卒補完」「A-2 補助型」「B-1 恒常型」があり、その中にさらに細かなタイプがあることが発見された。このうち、Aの中途採用は「内部登用型」の内部労働市場で、Bの中途採用は「雇用流動型」の内部労働市場で、それぞれ人材を活用している。このことから、複数の雇用システムが併存していることが示唆される。つまり、過度に単純化した国別モデルではなく、日本における多様な内部労働市場の存在を前提に、雇用改革論議を行う必要がある。