2024 年 16 巻 1 号 p. 65-75
日本の医療保険制度は保険料負担と一部負担の二重負担がある。先行研究において、一部負担の根拠は曖昧であり、一部負担の存在理由は主にモラルハザードであるとされる。日本で最初の健康保険法には一部負担の概念が存在しなかったが、保険財政の悪化で一部負担が導入された。現在、一部負担は受診時医療機関に支払う対価と理解されており、低所得者、生活困窮者にとって、受診のゲートキーパーとしての役割を果たしている。
本研究では、無料低額診療事業など一部負担を免除された当事者へのインタビュー調査を実施した。経済的理由に加え、受診行動に影響を与える二つの要因があると考察する。労働環境と子どものころの家庭環境である。そのため、自身の健康管理に対する意識が低く、受診行動につながりにくい。日本の医療保険制度はフリーアクセスだが、経済的困窮者にとって受診の機会が十分保障されていないと考える。