本研究は、大規模データ(CHARLS2018)による中国のダブルケアにかんする実証分析である。中国のダブルケアは孫の養育問題を起点に、孫の面倒を見ながら親ケアをしているパターンが最も多かった。また、自営業者・農業など時間的調整が容易な中高年女性がケアの責任を引き受けている。さらに子どもが公的部門や大企業など安定した職業に従事しても、中高年女性は複数のケア責任から逃れられない。年金や医療の社会保障制度での老後生活の保障が弱い現実がある一方、戸籍制度や労働市場における職業によって受けられる社会福祉の格差がある。中国のダブルケアは、農村から都市、小都市から大都市への人口移動、労働市場の構造、社会保障や戸籍制度から生まれるケア責任の再分配過程のなかで解釈すべきである。東アジアにおける共通の社会的リスクとしてのダブルケアを、社会政策研究として発展させていくことが課題である。