2024 年 16 巻 3 号 p. 99-110
障害者雇用就労領域では、労働施策と福祉施策の連携を図り、障害の有無にかかわらず働く社会を目指しており、今後の労働政策のモデルとなる。障害者就労継続支援A型事業は、障害者を含む就職困難者の雇用や新しい労働社会に必要であり、地域の活性化にもつながる重要な資源である。しかし事業運営や作業訓練内容に詳細な規定はなく、運営や支援の実態は明らかでない。このため筆者は、障害者就労継続支援A型事業所の運営と支援の実態を明らかにし、障害者雇用システムの中で障害者就労継続支援A型事業所の位置づけ及び地域特性に応じて効果的に運営する仕組みを明らかにするため、障害者総合支援法による指定基準を満たすA型事業所の地方と都市部の事業主対象にインタビュー調査を実施した。
本報告は、調査のうち地方分についての分析結果をもとに以下3点を明らかにする。①事業所の運営状況、②一般就労移行のための支援、③賃金向上のための工夫である。