2025 年 16 巻 4 号 p. 198-211
本研究では、戦後日本の労使関係に大きな影響を与えた日本生産性本部の職員たちを分析する。生産性運動を分析することは、高度経済成長の理由を理解することにもなる。本稿では、相互信頼的と評される日本の労使関係の構築過程を探るために、生産性運動について文献・口述史料を用いて分析した。まず、生産性運動が労使関係に与えた影響を確認する。その施策とは次のようなものである。1)労使協議制度の導入、2)視察団・委員会を通じた組合幹部の間のコミュニケーションの促進、3)労使双方への幅広い教育の導入などである。さらに本稿では、これらの活動を支えた職員の経歴や考え方を探った。職員たちは3つのタイプに分類することができた。人材タイプから生産性運動を記述すると、ナショナリズム、労働運動、近代合理主義という多面性が見える。これらイデオロギーは関連しながらも1970年代半ばを境に「国民運動」としての側面を失っていったのである。