2026 年 18 巻 1 号 p. 28-39
本稿では介護費用抑制を図る次の三つの改革動向に着目した。第一に地域密着型サービスの拡充、第二に特定施設入居者生活介護の増加、第三に総合事業の導入である。これらは、施設・職員配置基準の緩和による介護費用の抑制、居住費用の自己負担化、および主要な予防給付の保険適用除外等を内容とする。本稿では、保険財政を維持するための保険給付対象の縮減というこの皮肉な現象を「脱保険化」と名付けた。これら「脱保険化」は市町村が保険外でカバーする領域の拡大を意味しているが、その一方で市町村に「保険者機能」の強化を迫るものでもある。これは狭域における給付と負担の縮小均衡という趣旨に他ならない。広域化を選択した国保とは対照的に、介護保険が狭域の保険者機能に焦点化しているのは、市場化によってサービスの地域差があまりに拡大したことを背景としているが、つまるところリスク分散を旨とする保険原理からの乖離に他ならない。