本稿は、介護保険制度と障害福祉制度という異なる理念構造と制度原理をもつ二制度において、制度的接合の進展と理念的乖離の先鋭化が同時に進行している現象を、政策過程の分析から追究するものである。介護保険が「自立支援」と財政的「持続可能性」を軸とする政策合理性のもとで展開してきたのに対し、障害福祉は当事者運動と国際人権規範という内外的圧力の影響のもとで、「自立生活」と「権利保障」を制度理念として形成してきた。本稿では、こうした両制度の理念的差異の構造を明らかにするとともに、高齢期ケアの理念的再構成の必要性を提示する。