社会政策
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未曾有の原発震災に直面して(<特集1>福島原発震災と地域社会)
石丸 小四郎
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2013 年 4 巻 3 号 p. 18-27

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抄録
東電福島第一原発の過酷事故は,福島県全体に痛烈な打撃を与えた。県土の70%は「放射線管理区域」を超える汚染地域となり,原発から20キロ圏内の市町村は消滅の危機に瀕している。約16万県民が県内外に避難生活を余儀なくされ,毎月1000人を超える人々が県外に去っている。原発事故がなければ,救えたであろう地震・津波被害者の存在や761名もの震災関連死,その後の要介護認定者の急増など,原発事故に伴う犠牲の数々は「氷山の一角」に過ぎない。原発事故収束作業に従事する労働者たちの被ばく線量の増加や遅々として進まない除染など放射能をめぐる闘いは続いている。今,私たちは,来電福島原発事故の責任をただし,特別立法による被ばく県民に対する支援を求め,被害を調査・記録・発信する取り組みを進めている。私たちの未来は,原発再稼働を許さず,原発からの離脱あるのみである。
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© 2013 社会政策学会
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