抄録
1990年代半ば以降,わが国の福祉サービス供給体制の再編がすすんでいる。とくに,介護サービスの供給体制に着目し,第一にいわゆる「準市場」の観点から特徴と課題を分析した。第二に「市場化」された福祉サービスは,私的行為としての契約が基本であるにもかかわらず,同時に「公共性」も帯びている。その場合の「公共性」とは何かについて,民主党政権下における「新しい公共円卓会議」での議論からその性質を抽出した。その上で明らかになったこととして,介護サービス供給体制の問題点には介護報酬単価の低さが需給ギャップを生じさせていること,応益負担化の正当化の根拠が問われていること,選択権にとどまらない利用権への拡張が必要であることを指摘した。また,「新しい公共」は自助と相互扶助を基調とする新自由主義的思想と親和|生か高く,これに対抗するには吉田久一氏の言う「社会福祉の社会科学」を追求すべきであると結論付けた。