本稿では,国内の地方自治体における政策評価(行政評価)に焦点をあて,その実態に対して理論的な検討を試みた。政策評価(行政評価)システムが地方自治体で最初に導入されて15年以上,また国に導入されて10年以上が経過しており,総務省の調査よれば,2002(平成14)年度以降,評価システムの導入自治体数は着実に増加し,いまや半数を超える自治体で何らかの評価システムが導入運用されている。このような状況下において,政策評価は行政運営や政策過程においてどのような役割を果たしてきたのかという観点から,筆者が外部評価委員として参与している2つの自治体における高齢者福祉施策の評価を事例として取り上げ,それらにおいてどのようなタイプの評価システムが構築されているかについて分析した。さらに評価システムの運用実態と今後の課題を整理し,最後に評価システムが機能するための諸要件について明らかにした。