わが国では,評価の制度化が進展しているものの,その制度を実質的に機能させる上での課題は多く,中央政府の政策評価制度については,プログラムの実施とその結果の因果関係の分析という機能が発揮できない状況にある。このような状況を踏まえ,本論文では,ヒューマンサービス領域に関して,プログラム評価法の発展の成果を,政策評価の機能の向上と,科学的知見の活用という点での政策過程の改善に活用する方策を検討した。ヒューマンサービスに関わる政策領域は,プログラム評価法の適用にふさわしい条件を備えており,特に社会福祉分野では,プログラム評価の必要性と可能性が高まっている状況にある。そのような中で,社会福祉分野に適した評価アプローチとして大島巌によって開発されたCD-TEP法をはじめとするプログラム評価法の発展の成果を,政策評価の機能の向上と,政策過程の改善に有効に活用することが求められている。