1990年代初めから,日本企業は,成果主義人事・賃金制度を導入し始めた。これらの制度改革は,労働市場改革と年功賃金の見直しを促進しようとするものであった。とはいえ,成果主義へ批判が高まったために,これらの試みは必ずしもうまくいかなかった。例えば,日本型年俸制に典型的にみられたように,成果主義人事・賃金制度は,修正を余儀なくされたのである。試行錯誤の結果,近年,日本企業は役割給・成果給の導入を進めている。本稿では,成果主義人事・賃金制度に関するいくつかの先行研究を紹介し,今後の日本企業の人事・賃金制度のあり方に関する研究の発展への示唆を得ようとするものである。