2019 年 39 巻 1 号 p. 063-067
症例は87歳の女性。腹痛を主訴に受診し,下腹部の膨満,下腹部に限局する圧痛を認めた。腹部造影CT検査では多量の腹水貯留,小腸の広範囲にわたる造影不良域を認め,内ヘルニアによる絞扼性腸閉塞と診断し緊急手術を施行した。明らかな腸回転異常は認めなかったが,Treitz靭帯尾側の傍十二指腸窩に約5cmのヘルニア門を認め,空腸が遊離腹腔側からヘルニア門を通過,右側結腸間膜背側を走行し,再度ヘルニア門から肛門側小腸が遊離腹腔側に戻っていた。右側結腸間膜背側にとらわれていた約200cmの小腸が嵌頓し壊死していたため壊死小腸を切除した。右傍十二指腸ヘルニアによる絞扼性腸閉塞と診断した。本症は腸閉塞症状を呈し緊急手術が施行されるものが多いが,中には絞扼性腸閉塞に至る症例があるため診断された時点で手術療法を考慮すべきである。